今住んでいる家を解体して、新しい家を建てる「建替え」工事。このとき引越しは2回発生するわけですが、通常の引越しと違う注意点はあるのでしょうか?
今回は、建替え工事に伴う引越しの流れと、押さえておくべきポイントを見ていきましょう。
建替えって?
現在住んでいる家屋の老朽化が進み、リフォームやリノベーションで対応せずに「一度取り壊してまっさらな状態にしてから、改めて新築する」ことを、建替えといいます。基礎まですべて取り払ってしまい、完全に更地にしてからの新築工事になることがほとんどです。
「解体工事」と「新築工事」という大きな工事が2種類続くため、工期も長くなるうえ、1番のポイントとなるのが「仮住まいへの引越し」が必要だという点です。
今住んでいる家屋を取り壊してしまうのですから、新たな家屋ができるまでの間、生活する場所がなくなってしまうわけですよね。しかも、家屋の中を空っぽにしておく必要もあります。そこで仮住まいを用意しなければならないというわけです。
もう1つのポイントは、「引越しが2回発生する」という点です。旧宅から仮住まいへの引越しと、新宅が完成したあとの仮住まいから新宅への引越しです。通常の引越しであれば、引越しが完了したらそれでおしまいですが、建替えの場合は数か月後にまたすぐ引越しが控えているのです。
このように、建替え工事の際の引越しは、普通の引越しとは違う点があることをきちんと押さえつつ、準備や段取りを考えていかなければなりません。
建替えの引越しの流れ
解体工事が決まったら仮住まい探し
建替え工事には2種類の工事があると前述しましたが、両方の工事がすべて完了するまでの間、仮住まい生活を続けなければなりません。
それは一体どのくらいの期間になるのか、また工事会社を決めてから実際に解体工事が始まるまでの準備期間がどのくらいになるのか、ということに関しては、依頼する業者次第です。まずその期間をはっきりさせることから始めましょう。
準備期間があまりないのであれば、仮住まい探しは急がなければならないでしょう。
この住まい探しは、ただでさえ時間がかかると思っていた方がよい、という事情もあります。なぜかというと、短期間限定の住まいとなるからです。賃貸物件の入居期間は2年間というのが主流で、短期入居は断られてしまうということも多いのです。
通常の住まい探しのように、希望通りの物件にすんなり決まる、ということはなかなか難しいと考えて、時間に余裕を持って進めなければならないと心得ておきましょう。
モノの整理
通常の引越しであっても、荷造りの際には不用品を選別して捨てるという作業が不可欠ですが、建替えの場合はさらにシビアになることが予想されます。
建替えということは、もともと住んでいるのは戸建て住宅、仮住まいは賃貸アパートということがほとんどです。家財道具を戸建住宅に入っているそっくりそのままの量で仮住まいに移すのは、相当難しいと思っていた方がよいでしょう。
選別に選別を重ね、モノの量をしっかり減らすことが必要です。
また、仮住まいに持っていく家財道具と、新居に持っていく家財道具を分けるという手もあります。もちろんこの場合新居用に荷造りしてしまったものは仮住まいでは使えないため、仮住まい期間中は使わなくても済むもの・我慢できるもの限定となります。生活必需品は当然無理ですし、家電も厳しいでしょうから、しっかりと見極める必要があります。
しかもどんなに荷物を減らしても、仮住まいではダンボールを山積みにしたままの生活がしばらく続くこともあるでしょう。どのダンボールに何が入っているかわからない、すぐ使いたいものが入っているダンボールが下の方に置かれてしまった…といった恐れもあるので、わかりやすくダンボールに印をつけて、引越し屋さんと情報を共有するなどの工夫が必要です。
この間、引越しの準備の他にローンの申込や審査などもあり、多忙さはマックスです。段取りよく進めていきたいですね。
引越し
実は引越し業者によっては、「建替え・リフォームプラン」のようなものを用意しているところもあります。仮住まい生活中、家財道具を一時預かりしてくれたり、2回分の引越しをセットのプランにしてくれたりするのです。
一時預かりは、仮住まいにどうしても荷物が入りきらないというときに非常に助かりますよね。ただし、一時預かりしてもらう荷物は、2回目の引越しの終了時までは開封できないことが予想されるので、仮住まいで使わなければならないものは預けられないことに注意が必要です。
2回分の引越しを合わせて同じ業者が請け負ってくれるというのは、自宅の場所や荷物の量などをすべて業者が把握してくれているので、何かと安心感がありますね。
こういったプランを用意している引越し業者を選ぶことも視野に入れておくと良いでしょう。
引越し後
仮住まいでの生活は不便なことも多く、快適とはいいがたいかもしれませんが、一時期のことだと思って割り切って過ごしたいものです。
仮住まい探しの注意点
妥協も必要と心得る
仮住まいでは、これまで通りの生活水準を完全に維持することはなかなか難しいと思っておいた方がいいでしょう。
仮住まい探しにはタイムリミットがあります。解体工事の着工までに住まい探しをして引越しまで完了させていないと、住む家がなくなってしまいます。
また、前述したように短期間の契約が前提となるため、ただでさえ物件探しは難航する恐れがあるのです。
そのため仮住まいに求めるすべての希望を通そうとするのではなく、妥協点を決めておかなければ、いつまで経っても仮住まいが決まらない、という事態にもなるので、注意が必要です。
荷物の扱いを工夫する
引越しの際に運び込む荷物の量については前述した通り、まずはなるべく少なくするように努める必要があります。引越し業者の荷物預かりサービスについても触れましたが、そのほかにも「トランクルームなど荷物の一時保管場所を借りる」という手もあります。
仮住まいや新居の近くに手ごろなトランクルームがあるのなら、ぜひその利用も視野に入れてみましょう。
賃貸住宅よりマンスリーマンション
仮住まい先として賃貸住宅を選ぶときに、気になるのはやはり費用ですよね。家賃自体がそこまで高くなくても、新規入居の際には初期費用というものがかかり、場合によってはそれが「家賃4~6か月分相当の金額」くらいになります。
このとき選択肢に入れたいのが、マンスリーマンションです。敷金や礼金がないことが多いため、初期費用を大幅に減らせるというメリットがあります。
ただしマンスリーマンションは家具・家電つきのものが多いので、家賃設定は多少高めです。そのため仮住まい期間が長ければ長いほど、賃貸住宅と逆転現象が起きてトータルではコストが大きくなる可能性もあります。
工事期間がどのくらいになるのか、ということもよく踏まえて物件探しを行う必要があるのです。
まとめ
・建替え工事には「旧宅から仮住まい」「仮住まいから新居」という2回の引越しがあり、とにかく荷物の量を減らしておくことが求められる
・仮住まい探しは通常よりうまくいかないものと心得て、早めの物件探しを始めるべき
・引越し業者の「建替え工事プラン」をうまく活用しよう
建替えに伴う引越しには、通常の引越しにはない特徴があるものです。ポイントを押さえて、スムーズに事が運ぶよう準備していきましょう。